なめらかな書き跡

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【感想】山本式弱火調理法レシピ

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目からウロコの発想の転換。

何かよさげな作り置きおかずのレシピ本とかないかなーと本屋をうろうろしてたところ、こちらの本に遭遇。
ざざっと読めちゃうので店頭でひととおり読了。
帰宅後、読んだ内容をうろ覚えながらそのまんまやってみたらこれがおいしくてびっくり。
それ以外のレシピってどんなだったかなと気になってあらためて購入しました。

山本式調理法とは

私はこの本ではじめて出会った言葉でしたが、ぐぐってもすぐ出てきます。

簡単に言うと、「オリーブオイルと塩ひとつまみを入れた鍋に食材を入れて弱火で加熱する』という調理法です。

ameblo.jp

ブログだとこちらが一番有名かな?
こちらの甘栗さんは山本式調理本の本も出してらっしゃるライターさんのようです。

甘栗さんが編集してらっしゃる本が1冊めで、今回のこの本が2冊め。

1冊めはこちらですが版元切れ多いのかな今は。
私も見当たらなかったので手にとれませんでした。
どうやらこちらに載ってるのはほぼ野菜のみで、2冊めのほうが肉系のレシピも載っててバリエーション豊富らしいです。

手順は簡単

必要なもの:

ふたのぴちっと閉まるフライパンor鍋(18~20cm推奨)
オリーブオイル

材料はわりとなんでもいいようです。メインというか基本は野菜。
肉は「火が通らないことがあるから自分で火が通ってるかどうかをよく確認してください」とのこと。

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なべにオリーブオイル大さじ1入れて、上から塩をひとつまみぱらっと。

適当に切った野菜を、最初のひとつかみでオリーブオイルを鍋底全体に塗り広げてから入れて、

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フタをして弱火

5分~15分ほど放置

のぞいてみたりフタをとって、しんなりしてたらok。
葉野菜のみだと5~10分ぐらいで、肉とか芋とか火の通りにくそうなものは長めなかんじです。

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野菜だけで十分おいしいですが、私は肉メインと決めてるのでウィンナーを切って追加したりしてます。
これはフライパンじゃおさまらない量で鍋にけっこうつっこんだので8分ぐらい火にかけて、ウィンナー足して3分ぐらい。

あけてみた時の様子でまだ半生だなというときはもうちょっと。
明らかに見た目が違うので、火がとおってるかどうかは目視でいけます。
まったくどこも火がとおってないかんじで生野菜のままならたぶん弱火すぎるのでもうちょっと火を強くして再挑戦するといいかもです。
上の写真、いわゆる「コンロと鍋の中間ぐらいまで火がきてる状態」なので弱火というよりは中火に近いと思うんですが、うちだとこのくらいじゃないとちゃんと火が通らないです。

耳を近づけてみると「シュー」的な音がするのがちょうどいいところだそうです。
(本に書いてあった文言ですが、やってみるとほんとにそういう音します)

 

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食べてみると、これだけなのにふつうに食べられるんですよね。
これは岩塩と黒胡椒を上にちょろっと引いてますが、なくてもキャベツ自体も味が濃いし、ウィンナーの味がしっかり全体にまわってるので食べられます。

水は入れてませんがかなり水分出ます。野菜じたいのうまみだそうです。
オリーブオイル独特の香りが最初ふわっときますが、ほとんど気になりません。

レシピ本というよりは

タイトルにもあるとおり、この本は山本式のレシピ本になってます。
実際、チキンソテーとかあさりのスープとか和洋中いろいろ載ってるんですが、いまいちレシピの印象は薄いんでよね。

「山本式にした野菜をドレッシングで和えます」とか、「調味料を合わせておいて山本式にした野菜と混ぜます」とか「山本式にしてから調味料と水を入れて数分煮ます」とか、なんかこう、「山本式にした食材(主に野菜)のアレンジ方法」感が強くて、「料理のレシピ」感がちょっとうすいんです。
なので、私にはレシピはおまけに見えます。「ちゃんと」肉料理も載ってます、みたいな説明をどこかで見ましたが、いや、レシピ本って一般的には肉も野菜も魚も卵もひととおり載ってるから(;・∀・)
「肉料理も載ってます」を売りにするのってなんかおかしくない?(;・∀・)

それと、ちょっと上にも書きましたが、野菜以外の食材に関しては「ちゃんと火がとおってるかどうかを必ず自分で確認してから食べてください」的な注意書きがちょこちょこあるのもちょっと気になります。
上に載せたブログに時々出てくる「山本式を実践したい人からの質問に答えます」的なエントリでも、山本式では肉に火が通らないどうしたらいいんでしょうという質問があったり、それへの答えが火を強くしてみてください、だったり。
それ弱火調理ちゃうくない?(;・∀・)

あと、なぜオリーブオイルなのかという説明がない。
塩に関しては、こんな塩、できればこういうの、とか、ちゃんと説明とか推奨されてるんですけどね。
油に関しては「オリーブオイル」としか出てきません。
どうしてもオリーブオイルでなくてはいけないのか、ごま油やいわゆるサラダオイル、ちょっとはやってすぐすたれて、わりとあちこちのご家庭で使い切れなくて持て余してるはずのココナツオイルじゃだめなのか、それとも基本はオリーブオイル推奨というだけで、ほんとはなんでもいいのか。

長年お料理教室でこの調理法教えてらっしゃるそうなので一度も生徒さんからそういう質問出たことないってことはないと思うんですけど。
なんで誰もが疑問に思うであろうそこをスルーしてるのか。
たとえば肉に関しては「肉が火が通ってるかどうかは自分で責任もって確認してください」とそっと責任を放棄してるように、ほんとはなんでもいいんだけどオリーブオイルを使います、って言い切ったほうが特殊な調理法っぽく見えるからそっと知らん顔してるんじゃね?みたいな邪推もできちゃうんですよね。

そういう曖昧さが、どうにもこう、こなれきってないというか、言い方悪いんですが素人くさいというか、大上段に「料理法」と謳うには弱い気がするのです。

素晴らしい知恵

結局のところ山本式というのは、ベースが「野菜をおいしくかつエコに料理する方法」であって、一種の生活の知恵というか、ガス代電気代節約したいはねた油の飛んだ台所を掃除したくない主婦が思いついて工夫してみたらなかなかおいしくできました!というタイプのものかなあ、と思います。
そもそも、それを応用して肉やら魚やら、あらゆる料理を作れというほうがおかしいんじゃないかなと思うんですよね。

もちろん、コロンブスの卵です。

自分がこの着想ができるかというと、できないと思います。

ただ弱火にかけただけじゃこういうふうに調理はできないから、生活の知恵としては素晴らしいと思います。

じっさい、山本式にした野菜はおいしいです。野菜が好きじゃない私がおいしいって思うのでかなりおいしいんだと思います。

オリーブオイル入れてから「あっこれ生野菜じゃないし無理じゃね?」と思った冷凍皮付きポテトもかりっとおいしく仕上がってびっくりしました。

私は今はMEC食をいちおう目指してるので大量に野菜を調理するということをそもそもしませんが、ジャーマンポテトとか(こげないので全体に白っぽいのがやや食欲がそそられない仕上がりになりますが)作るの楽で味濃くておいしいです。強火でやるとあれすっごいあっという間に焦げますからね(;・∀・)

 それと、基本的に野菜は味が淡いところに全部オリーブオイルと塩を基本で使うので、どれもだいたい同じ味がします。
調味料の工夫で幅は広がりますが、どうしてもオリーブオイルが介在する段階で風味は同じになります。

私は自分で選んでやってますから文句はないですが、自分が主婦じゃなくて毎日料理担当の家族がこの方式の料理ばっかり出してきたら「え、また?」とかちょっと文句言うかも。

なんかこう、うん、たしかにエコだし鍋はこげつかないから片付けも楽なんだけど、なんでおうちにはお金がまったくないわけじゃないのに毎日食べるものは全部食パンの耳で、夜は電気を全部消してろうそく1本だけで生活しないといけないの?みたいな気持ちになってくるんですよね(苦笑)

でも、そういうものであることを理解して納得した上で取り入れるぶんには、とてもよいバリエーションの1つだと思います。